こんにちは。
AIエージェントSkillsシリーズ、今回はWebマーケティング領域です。広告運用やLP改善よりも一段広い視点で、戦略設計・ポジショニング・コンテンツ設計・競合調査・リード獲得・評判監視あたりをまとめて整理しました。
正直に書くと、この領域は公式・準公式のSkillsがかなり少ないです。Web制作やSEOのように大手ベンダーが積極的に公開している状況ではありません。
ただ、サードパーティ側には実用的なSkillsが揃ってきていて、特にmarketingskills(coreyhaines31)を中核に、Apify・Anysite・開発者マーケ系で補強するという構図がはっきり見えてきました。
この記事では、2026年3月時点でWebマーケティングに使えるSkills 19個を整理しています。「どれを入れたらいいかわからない」という方は、記事後半の組み合わせパターンから試してみてください。
Skills(SKILL.md)とは — AIエージェントの「得意分野」を定義するファイル
Skills(スキルズ)とは、AIエージェントに「このプロジェクトではこういうルールで、こういう技術を使って、こういう品質基準で仕事してね」と伝えるための設定ファイルです。
具体的には、プロジェクトのルートに SKILL.md というMarkdownファイルを置きます。中身はただのテキストなので、特別なツールは不要です。
たとえば「Reactのベストプラクティスに従ってコードを書いてほしい」というSkillを入れると、AIエージェントはReactの設計原則を守った提案をしてくれるようになります。プロンプトに毎回同じことを書かなくてよくなるわけです。
2026年に入ってから、OpenAI・Vercel Labs・Anthropic・GitHubなどがSkillsを公式に公開し始めていて、GitHubからダウンロードしてそのまま使える状態になっています。
つまり、自分でプロンプトを試行錯誤しなくても、プロが作ったSkillを置くだけでAIの出力品質が上がる。これが「楽してAIを使う」の本質です。
Skillsの仕組みや導入方法をもっと詳しく知りたい方は、Skills(SKILL.md)とは?AIの出力を”置くだけ”で変えるファイルの使い方をご覧ください。
Webマーケティング領域の整理軸
Webマーケティングは範囲が広いので、Skillsを選ぶときの整理軸を先に示しておきます。
この領域のSkillsは、大きく6つの役割に分かれます。
- 戦略設計 — 「誰に何をどう届けるか」の上流整理
- ポジショニング・価格設計 — 訴求の前提づくりと料金設計
- コンテンツ設計 — トピック設計、SNS運用、導線設計
- 競合調査・市場調査 — スクレイピングや競合監視
- リード獲得 — 見込み客の抽出と接点づくり
- 評判監視・オーディエンス分析 — ブランド言及やトレンドの把握
Web制作領域のSkillsが「デザイン→実装→テスト→デプロイ」という工程軸で整理できたのに対し、マーケティング領域は「広告を回す前の整理」に使えるSkillsが多いのが特徴です。
公式・準公式の状況
2026年3月時点では、Webマーケティング領域で強く推せる公式・準公式の公開Skillsはかなり少なめです。
Web制作領域ではOpenAI・Vercel Labs・Anthropicなどが充実したSkillsを出していましたが、マーケティング領域ではそうした動きがまだ見られません。
なので、実務で使うならサードパーティ中心で見るのが自然です。以下で紹介する19個は、すべてサードパーティ(コミュニティ・個人・企業)が公開しているものになります。
サードパーティのSkills 19選
サードパーティとはいえ、中身がしっかりしていて実務に使えるものを厳選しています。提供元ごとにグループ分けして紹介します。
マーケティング戦略・設計(marketingskills / coreyhaines31)
marketingskillsは、マーケティングの上流工程を幅広くカバーするSkill群です。1つのリポジトリに11個のSkillが格納されていて、このカテゴリの中核になっています。
1. Marketing Ideas
マーケ施策の発想、成長施策の棚出し、打ち手の拡張に使うSkillです。「次に何をやるべきか」のアイデア出しをAIと一緒に進められます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – marketing-ideas
2. Launch Strategy
新サービス、機能公開、GTM(Go-To-Market)設計、段階的なローンチ計画を考えるSkillです。リリース前の準備をAIに壁打ちさせるのに向いています。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – launch-strategy
3. Pricing Strategy
料金設計、パッケージ設計、収益化の整理に使うSkillです。「無料プランはどこまで含める?」「年払いの割引率は?」といった判断の材料を出してくれます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – pricing-strategy
4. Product Marketing Context
訴求を書く前に、プロダクト理解、差別化、前提整理を行うSkillです。「うちのサービスの強みは何で、誰に向けて、どう伝えるか」の共通認識を作る土台として使えます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – product-marketing-context
5. Marketing Psychology
心理学、行動科学、認知バイアスなどを訴求や導線設計に反映するSkillです。「なぜこの順番で情報を見せるのか」をロジカルに設計できるようになります。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – marketing-psychology
6. Content Strategy
トピック設計、クラスター設計、優先度設計などを進めるSkillです。「何について書くか」「どの順番で出すか」を体系的に整理できます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – content-strategy
7. Social Content
SNSや短尺投稿の企画、再利用、運用補助に使うSkillです。ブログ記事から要点を抜き出してX投稿に変換する、といった使い方ができます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – social-content
8. Site Architecture
ページ階層、ナビゲーション、URL構造などの再設計を進めるSkillです。「サイトの情報設計を見直したい」ときの整理役として使えます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – site-architecture
9. Referral Program
紹介施策、アフィリエイト、アンバサダー施策の設計に使うSkillです。「紹介プログラムを始めたいけど、何から決めればいいかわからない」という段階から使えます。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – referral-program
10. RevOps
マーケティングと営業の運用接続を整えるSkillです。「マーケが獲得したリードが営業に渡る仕組み」の設計や、パイプライン管理の整理に使います。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – revops
11. Sales Enablement
営業資料、訴求資料、セールス支援コンテンツの整備に使うSkillです。「マーケが作ったメッセージを、営業現場で使える形にする」橋渡し役です。
GitHub: coreyhaines31/marketingskills – sales-enablement
marketingskillsの11個は、「広告を回す」より前の「誰に何をどう届けるか」を整理するSkillsとして一貫性があります。全部入れる必要はないので、自分の業務に近いものから2〜3個選んで試すのがおすすめです。
データ収集・分析(Apify)
Apifyはスクレイピングや自動化の基盤サービスで、マーケティング向けのSkillsも複数公開しています。
12. Brand Reputation Monitoring
レビュー、評判、感情傾向、ブランド言及を横断監視するSkillです。「自社の名前がどこで、どんな文脈で言及されているか」を把握できます。
GitHub: apify/agent-skills – brand-reputation-monitoring
13. Audience Analysis
オーディエンス属性、嗜好、行動、反応傾向を分析するSkillです。「うちのユーザーはどんな人で、何に反応するのか」の解像度を上げてくれます。
GitHub: apify/agent-skills – audience-analysis
14. Trend Analysis
トレンド把握や企画の種探しに使うSkillです。「今何が話題になっているか」「次に来そうなテーマは何か」の調査を効率化できます。
GitHub: apify/agent-skills – trend-analysis
15. Ultimate Scraper
リード収集、競合調査、市場調査、トレンド把握の土台として使えるSkillです。Apifyの汎用スクレイピング機能をAIエージェントから呼び出せるようにしたもので、他のSkillsのデータソースとしても機能します。
GitHub: apify/agent-skills – ultimate-scraper
リード獲得・競合監視(Anysite)
16. Lead Generation
LinkedIn検索、メール発見、Webサイトからの連絡先抽出などを進めるSkillです。BtoBのリード獲得で「ターゲット企業の担当者をリストアップしたい」ときに使います。
GitHub: anysiteio/agent-skills – lead-generation
17. Competitor Intelligence
LinkedIn、X、Reddit、YouTubeなどを横断して競合の発信や動向を監視するSkillです。「競合が最近どんなコンテンツを出しているか」「採用状況から事業の方向性を推測する」といった使い方ができます。
GitHub: anysiteio/agent-skills – competitor-intelligence
開発者向け・特化型マーケティング
18. Developer Marketing Skills
Hacker News戦略、技術記事、docs-as-marketing、developer onboardingなどを扱うSkill集です。開発者向けのプロダクトを持っている人には刺さる内容で、「技術コミュニティにどうリーチするか」を体系的に整理できます。
GitHub: jonathimer/devmarketing-skills
19. AI Marketing Claude Code Skills
homepage audit、social cards、AI discoverability auditなどを含むマーケ系Skill集です。「AIに見つけてもらえるサイトになっているか」という新しい観点の監査が入っているのが面白いポイント。
GitHub: BrianRWagner/ai-marketing-claude-code-skills
実務で強い「組み合わせ」6パターン
Skillsは単体で入れても効果がありますが、マーケティングの業務フローに沿って複数を組み合わせると、作業の「つなぎ目」がなくなって一気に楽になります。
以下の6パターンは、実際に試してみて「これは強い」と感じた組み合わせです。
パターン1 — マーケ戦略の土台づくり
- product-marketing-context(訴求の前提整理・共通文脈づくり)
- marketing-ideas(マーケ施策の発想・成長施策の棚出し)
- marketing-psychology(心理学・行動科学を訴求へ反映)
まず product-marketing-context で「自社の強み・ターゲット・差別化ポイント」を整理し、そこから marketing-ideas で打ち手を広げて、marketing-psychology で訴求の説得力を高める流れです。マーケティングの最上流を固めたいときに最初に入れるべき組み合わせです。
パターン2 — ローンチ / GTM設計
- launch-strategy(機能公開・新サービス・GTM設計)
- pricing-strategy(料金設計・パッケージ設計・収益化)
- sales-enablement(営業資料・訴求整備)
新しいプロダクトや機能をリリースするときの「ローンチ計画→料金設計→営業ツール整備」を一気通貫でカバーします。「リリースしたけど売り方が決まっていない」という状態を防ぐための組み合わせです。
パターン3 — コンテンツと導線の再設計
- content-strategy(トピック設計・クラスター・優先度設計)
- site-architecture(情報設計・ナビゲーション・導線の再設計)
- social-content(SNSや短尺投稿の企画・運用補助)
「どんなコンテンツを作るか」「サイト上でどう見せるか」「SNSでどう届けるか」を連動させる組み合わせです。コンテンツマーケティングを本格的にやるなら、この3つを揃えておくと設計の一貫性が保てます。
パターン4 — 市場 / 競合 / リードの把握
- apify-ultimate-scraper(リード収集・競合調査・市場調査の土台)
- anysite-competitor-intelligence(競合の発信・採用・動向監視)
- anysite-lead-generation(LinkedIn / Web横断の見込み客抽出)
データ収集系のSkillsを3つ組み合わせた「情報収集特化パターン」です。ultimate-scraper で広くデータを集めて、competitor-intelligence で競合を深掘りし、lead-generation でターゲットをリスト化するという流れで使います。BtoBマーケティングで特に威力を発揮します。
パターン5 — ブランドの反応監視
- apify-brand-reputation-monitoring(口コミ・評判・ブランド言及の監視)
- apify-audience-analysis(顧客像・関心・反応傾向の把握)
- apify-trend-analysis(トレンド把握・企画の種探し)
Apify系の3つで「ブランドがどう見られているか」を継続的に監視する組み合わせです。brand-reputation-monitoring で言及を拾い、audience-analysis で反応傾向を分析し、trend-analysis で市場の動きと照らし合わせる。PR施策やリブランディングの前に「今の立ち位置」を正確に把握したいときに使えます。
パターン6 — 開発者向けマーケ
- devmarketing-skills(HN戦略・技術記事・docs-as-marketing等)
- launch-strategy(機能公開・新サービス・GTM設計)
開発者向けのプロダクトを持っている場合に特化した組み合わせです。devmarketing-skills で「開発者コミュニティへのリーチ方法」を整理し、launch-strategy で「どう段階的にリリースするか」を設計します。一般的なマーケティングの枠組みでは拾えない、技術コミュニティ特有のアプローチをカバーできるのがポイントです。
注意点
マーケティング領域のSkillsを使う上で、いくつか注意しておきたい点があります。
- 公式Skillsが少ないため、メンテナンスの継続性は不確定です。特にサードパーティのSkillsは、作者がリポジトリの更新を止める可能性があります。導入前にGitHubのcommit履歴を見て、最近も更新されているかを確認しておくと安心です。
- スクレイピング系(Apify・Anysite)は、対象サイトの利用規約を確認してから使ってください。AIエージェントが自動でデータを収集する仕組みなので、利用規約に反する収集を行わないよう注意が必要です。
- Skillsの出力はあくまで「叩き台」です。特に戦略設計系のSkillsは、AIが出したアイデアをそのまま採用するのではなく、自社の文脈に合わせて取捨選択する前提で使ってください。
- marketingskillsが中核になっている構造なので、このリポジトリが大きく変わると影響範囲が広いです。定期的にリポジトリを確認して、変更がないかチェックしておくのがおすすめです。
まとめ
というわけで、2026年3月時点でWebマーケティングに使えるAIエージェントSkillsを19個紹介しました。
ポイントを振り返ると:
- Webマーケティング領域は公式・準公式が少なく、サードパーティ中心で選ぶのが現実的
- 中核は marketingskills(coreyhaines31)の11個。周辺をApify・Anysite・開発者マーケ系で補強する構図
- 「広告を回す」より前の「誰に何をどう届けるか」を整理するSkillsが多い
- 組み合わせパターン6つのうち、自分の業務に近いものから試すのがおすすめ
「毎回プロンプトで戦略の前提を説明する」のではなく、「Skillsを入れて、AIが文脈を理解した状態からスタートする」。これがマーケティング業務でAIエージェントを活用するコツだと思います。
Skillsの仕様は変化が速いので、この記事は定期的に見直して更新していく予定です。他のカテゴリ(Web制作・SEO・SNS運用など)のSkillsも順次整理していきますので、そちらもチェックしてみてください。
※ 本記事の情報は2026年3月9日時点のものです。各Skillsの仕様や公開状況は変更される可能性があります。最新情報は各GitHubリポジトリをご確認ください。
